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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.6

「やっとここまできたねぇ」

 早朝に村を出て、セシルたちは村の南の峠に差し掛かっていた。
 額ににじんだ汗を拭いながら、リシルが眼下に広がる景色を眺めながら息をつく。
 気候の好い時期だけに、日中は動くと汗ばむほどの陽気だ。すでに、日は中天を行き過ぎたとはいえ、まだ十分に気温は高かった。

「流石に、今日中には降りれないから、途中で野宿だよ。リシルもそのつもりで、野宿できそうな場所探してね」

 同じように汗を拭いながら、セシルが言う。
 この峠があまり通られることがない理由の一つに、一日で超えるには無理があること、必ず山のどこかで野宿をしなければならないことがあげられる。日中はそれほど凶暴な魔物は出てこないが、夜になるとそうもいかないし、出てくるのは人外だけとは限らない。

「わかってるわ」

 リシルがうなずいたももの、首をかしげる。

「それにしても、この道、全然魔物の気配がないのね。こんなに安全なら、もっと人通りが多そうなのに」

 そんなリシルの疑問に、そういえば、とセシルも違和感を感じる。

「確かに、魔物の気配がしないな。・・・と、いうか、生き物の気配がない!」

 気づけば、先ほどまで聞こえていた鳥のさえずりも、生き物の動く音も聞こえなくなっている。こんな生命あふれる森の中で、生き物の気配がないなんて異常でしかない。
 二人が警戒を強めると同時に、あたりの空気が一変した。
 圧倒的なマナの凝縮に、空間が歪み、景色が混ざる。
 視界が一瞬消えたのち、セシルたちの前には、一人の男が立っていた。
 細身の体を、特長のない外套で覆い、目深にかぶったフードで顔立ちは判然としないが、そこから覗く口元には、うっすらと質のよくない笑みが浮かんでいる。

「二人とも、お久しぶりですね」

 男は、フードを取り去って現れた顔は、多少の目つきの鋭さを除けば、どうといった特徴のない顔であった。しかし、ざんばらに切られた赤みを帯びた黒髪と、琥珀色の瞳に宿る光は、とても常人とは思えない空気を醸し出している。

「別に、会いたいなんて思ってないから」
「一生、久しいままでいてほしかったわ」

 男の挨拶にも、少女たちはすげない対応。けれど、全身で男に対する警戒を強めている。
 そんなすげない反応にも、男はさして気にする様子もなく微笑んでいる。

「貴女方は相変わらずですね。・・・いい加減、私のものになっていただきたいのに」

 明らかに、異常と思えることを言いながら、男は二人に対して手を差し伸べる。

「さぁ、私と一緒に行きましょう」
「「お断り!!」」

 二人がそろって力強く拒絶するも、男は堪えた様子もなく、差し出した手を下す。
 そして、聞き分けのない子供を前にするかのように、うつむいて頭を振る。

「仕方がないですね。あまり、手荒なことはしたくないのですけれど」

 男が、下したその手を横に払う。
 突如、突風が吹きあれ、少女たちを衝撃波が襲う。

 「「きゃあぁ」」

 二人は直撃する間際に回避行動をとったけれど、吹き飛ばされ地面に投げ出される。
 軽傷だったため、すぐに起き上がったが、二人は驚愕に表情を固めている。

「なんで・・・」

 セシルのつぶやきに答えるかのように、男は口元にさらに深い笑みを浮かべる。

「この世界のマナではないのでね」
「どういう、こと・・・?」

 今までの男であったら、少女たち二人の実力からすれば、この危機を脱することはそれほど難しくはなかった。
 少女たちがこの男に付け狙われ始めたのは、昨日今日の話ではない。だからこそ15歳の時から神殿を出て、2年もの間、各地を転々としてきたのだから。
 しかし、男の様子がいつもと異なっている。主に、その力が。

「大したことではありません。さぁ、私と一緒に・・・」

 ゆっくりと、男が少女たちに近づいていく。
 普段なら、どうということもなく、返り討ちにしていたのに、未知の恐怖に体が動かなかった。


   to be continued
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