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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.7


「未成年者略取、の現行犯ですね」

 突如、緊迫した雰囲気の中には、場違いな言葉が、場違いな声音で響いた。

「あんたたち・・・」
「間に合ったようですね」

 呆然と呟くセシルに、介入してきた男――港町で出会った王子様が微笑みかけた。

「おやおや、次元をわたって来てしまいましたか。そのまま大人しくしていればよかったものを」

 そういって、赤髪の男はセシルたちのいる位置とは、反対にいる介入者たちに顔を向ける。

「サーダル、お前の好きにさせるわけにはいかない」

 王子様の兄が、腰に佩いた剣の柄に手をかけながら、油断なく男―サーダルを見つめる。
 王子様たちと、セシルたちとを見比べたサーダルは、溜息を一つ吐く。面倒だ、と態度で如実に表しながら。

「ここは引きましょう。セシル、リシル、またお会いしましょう」

 短く何かを呟くと、サーダルは現れたときと同様に、空間の歪みを生じさせて、一瞬で消え去った。

「・・・何が起きてるの?」

 呆然と呟くリシルに、王子様が声をかける。

「お怪我はありませんでしたか」

 春の日差しのような、柔らかな微笑みとかけられた言葉は、一般的には恋に落ちるような場面だが、リシルはほやんとした笑顔で返すだけ。

「えぇ、だいじょうぶよ。ありがとう」
「あんた達には助けられたね。礼を言っておくよ」

 王子様と、近づいてきた兄に、セシルは礼を言う。けれど、偶然にしてはできすぎているし、彼らも、サーダルと縁のある者であることが分かった今、それだけでは終わらないだろう。
 だから、セシルは単刀直入に聞いた。

「あんた達は、何者なの?」

 その言葉に、王子様は笑みを深くする。この瞬間を、待っていたのだとばかりに。

「お話したいことがたくさんありますので、このあたりで野営でもいかがですか。ちょうど日も傾いてきたことですし」

 空を見上げる王子様に倣って、あたりに意識を向けてみれば、確かにかなりの時間がたっているようだった。

「そうだな、少し早いけど、野宿の準備をしよう」

 そうして、セシルたち4人は支度を始めた。



 野営の火を囲みながら、まずは自己紹介が始まった。

「マトリスでお会いしてますから、初めましてではありませんが、自己紹介から。僕はカイフォード、こちらは兄のジークハルトです」

 王子様、もといカイフォードの隣で、ジークハルトは火をつつきながら、視線だけで紹介を済ませる。

「あたしはセシル」
「リシルよ」
「僕のことはカイと呼んでください」
「俺はジークでいい」

 二人の自己紹介を聞いたカイとジークがそれぞれに付け足す。

「お気づきかと思いますが、僕たちが貴女たちとあの街で会ったのは偶然ではありません」

 落ち着いた低めの声音が、慎重に話し出す。
 やはり、というかカイたちの探し人はセシルたちをあったらしい。

「僕たちは、女神の巫女である、貴女方を探していました」

 セシルは、静かに息を詰める。
 そう、セシルとリシルは双子の『巫女姫』。サーダルに狙われて15の時にそこを出るまで、生まれた時から神殿の奥深くで暮らし、育てられた。
 アデラ創世神話に出てくる女神の巫女姫は、二人いて、それぞれ『舞姫』と『歌姫』と呼ばれている。世界の危機を救った時の、二人の行動からそのように呼ばれるようになったという。どのような行動をとったのか、詳細は文献には残されていないが、そのように呼ばれているのだ。
 その巫女姫を探している、とは、どういうことなのか。

「サーダルが、あなた達は次元をわたって来たって言ってたけど、あれってどういう意味かしら?わたし達、次元の違うところに知り合いなんていないはずなんだけど」

 セシルの緊張をよそに、リシルが疑問を発する。疑問の持ち方が、多少ずれてはいるが、彼らがセシルたちを探していた理由につながるものがあるのは間違いなかった。

「僕たちは、ここ『アデラ』と隣接する世界『ガータ』から来ました。

 カイの言葉に、セシルは今度こそ、はっきりと息をのむ。
 隣接する世界『ガータ』。女神アデルライトの弟神が創った世界。『アデラ』を侵略した、弟神ガートライト。

「・・・・・・神話じゃ、なかったのか」
「『巫女姫』が存在するんだ、『ガータ』が存在しても、おかしくないだろう」

 押し出すように、言葉を出して呆然とするセシルに、ジークがいぶかしげに口を挟む。
 神話に存在する世界が、現実に存在する。そして、人が渡ってくるということは、つまり。

「マナの減少は、伝説と同じ世界の危機だっていうのか」

 セシルのつぶやきに、リシルも息をのむ。
 マナの減少は時々、起きなくもない。どこかの村や国が、大規模な儀式を行ったりすると、一時的に世界にたゆたうマナが減り、世界中に影響を及ぼす。
 けれど。

「そうです。このままでは『アデラ』も、滅亡へと向かうでしょう」

 焚火の揺らめく炎に照らされたカイの顔は、歪な影をつくりだしていた。



   to be continued
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