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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.9

 あまりの事態に呆然とする。女神の巫女姫なんて、そんなものなりたくてなったわけではない。物心ついたときには、すでに巫女姫として育てられ、その役割を果たせとばかりに、周りからの重圧を受けて育った。生活に困ることはなかったが、いいことばかりではなった。
 けれど二人とも、カイたちの行動に我に返った。
 大の男が年下の、それも少女にするには抵抗ある行動のはずだ。しかし、彼らにはそんな素振りは一切なく、真摯に最大限の礼を尽くす。それだけ逼迫した状況であるということでもあるが、彼らにはそれが出来るだけの器があるということだろう。
 巫女姫という役割に、心底納得しているわけでもないし、自分たちに何が出来るかもわからない。こんな危機を乗り越えれるか、不安がないわけでもない。
 それでも少女二人は、互いに顔を見合わせ覚悟を決める。互いがいれば、怖いものはない。やらなければならないのならば、やるしかない。自分たちが、二人で存在する意味のために。

「あたしたちは、巫女姫だ」
「巫女姫である以上、この世界が遭遇する危機には対処しなくちゃいけないわ」

 リシルの言葉に、カイがぱっと顔を上げる。期待に満ちた表情をのせて。

「それでは・・・」
「早まらないで」

 勢いこんで話そうとしたカイを遮って、セシルが続ける。

「あんたたちの言葉をすべて信じたわけじゃない。あんたたちの話が本当だっていう証拠はどこにもない」

 その言葉に、カイもジークも、反論はしない。自分たちの話を裏付けるものは、今ここには何もないということを、彼らはきちんと理解していたからだ。

「いまここにある事実は、この世界のマナが減少しているということ」
「世界のマナが減るなんて、めったに起きることじゃないわ。放っておくことは、さすがにできないわね」

 男二人は、沈黙を守っている。少女たちが、自分たちに何を求めているのか、見極めるために。
 そんな男たちの反応を見ながら、セシルたちは互いに目を交わす。

「でも、女二人で旅するなんて、危ないと思わない?」

 ここで、少女たちは男二人に視線を向ける。そこには、年相応の悪戯っぽい光が輝ている。
 カイはこの視線の意味を、正しく理解して、微笑みながらこう提案する。

「僕だちでよろしければ、喜んで巫女姫様の護衛を務めさせていただきます。それなりに、使えるものと自負しています」

 少女たちは笑いあい、この提案に頷いてみせる。やるしかないのならば、悲壮になる必要はない。できるだけ楽しむべきだ。彼女たちには、それをできるだけの精神の柔軟性と若さがある。
 カイたちにも、その心が伝わったのだろう。それまであった、どこか張りつめたものが消えている。

「あら、でも私たち、報酬を出せるほど懐が潤っているわけじゃないのよ」
「巫女姫ったって、清貧な生活しかしてないからね」

 あくまで、困ったような口調。相手がどう返してくるか、期待に瞳が輝いている。
 ここで、意外にも寡黙で堅物そうな印象のジークまで、その茶目っ気を発揮して見せた。

「巫女姫の随伴という栄誉ある仕事だ。報酬などそれであまりある」

 口調だけはしかつめらしくしているが、その口元はうっすらと笑みを刻んでいる。深い色の瞳の奥には、少しあきれたような、けれどその精神を好ましいと思っている光が見える。

「なら、決まりだね。あんたたちは今からあたしたちの護衛」
「私たちに、楽させてくださいね」

 口調は楽しそうに。
 世界の崩壊などという危機を任された重圧に、つぶされないためにも。

「はい、ありがとうございます」
「感謝する」


   to be continued
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