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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.1

 街道から少し離れた森の中。
 昼間でも少し薄暗いそこは、後ろ暗いことをするにはもってこいの場所。
 そんな場所にいたのが運のつき。
 360度どこから見ても、”俺たちは野盗だぜ!”と名乗っているかのような薄汚い男たちが少女二人を取り囲む。

「お嬢ちゃんたち、ここを通りたければ金目の物を置いていきな」
「そうすりゃ、命だけは助けてやってもいいぜ」
「そうそう。命だけは、な」

 下卑た笑い声をあげてそんなセリフを吐くのも、月並みというか、王道というか。まぁ、どちらも同じ意味だが。

「・・・・・・めんどい」

 そんな男達を見ながら、心底めんどくさそうに溜息を吐いたのは、囲まれている少女。
 黒い髪を高い位置に一つに結い上げ、両側にスリットの入った拳法着に身を包み、扇で口元を隠している。怯えてあげられないことを隠すため、一応野盗たちに対して配慮をしてみた。

「セシル・・・そんな、あからさますぎるよ。ちょっとくらい、怖がってあげるべきじゃない?」

 そんな黒髪の少女の努力はあまり実っていないようで、隣から窘めるような声がかかる。
 柔らかく波打つ金髪に、新緑に輝く森を思わせる翠の瞳。白い肌にふっくらとした紅い唇、柔らかな雰囲気を持った彼女は、まごう事なき美少女だ。

「リシル、あんたもだよ・・・」

 金髪の少女―リシルを見ながら、なお疲れたように肩を落とした黒髪の少女―セシル。
 温和な美少女然としたリシルも、この状況を怖がってるそぶりはかけらもない。そんな彼女に言われても、なセリフであることは間違いない。

「この嬢ちゃんたち、状況わかってるのか」

 そんな少女二人を見て、薄汚い男、もとい野盗その1が訝しげな顔をする。明らかに、こんな状況におかれた場合の、普通の少女の反応ではない。

「・・・まぁ、なんでもいい。とにかく、命が惜しかったら金目の物を全部出しな!」
「ついでに、お嬢ちゃん二人とも、特に金髪の方も置いていきな!」

 気を取り直し、盗賊その1とその2が威勢よく恫喝する。
 金髪美少女となれば下手な金目のモノよりも高く売れる、というのはどこでも事情は変わらないようだ。

「やっぱ、リシル狙いか」

 とたん、セシルの漆黒の瞳が剣呑な光を帯びてすっと細くなる。

「何なら、黒髪のお嬢ちゃんの方も一緒に来てくれてもいいんだぜ」

 彼女の変化にも気づかずに、いや、気づいていたとしても大した問題とは思っていないだろうが、男たちは相変わらずにやにやしている。

「・・・潰すか」

 セシルが、一言物騒なセリフをつぶやいた瞬間、ふわりと消えた。

「なっ・・・」
「どこに!?」
「うぎゃっ」

 取り囲む野盗達の驚愕と悲鳴がほぼ同時に響く。
 野盗そのいくつか、がどさりと音を立てて倒れた時には、すでにセシルは次に迫っていた。
 手に持つ扇を閃かせ、次々と男を打ち倒す動きは、あたかも舞を舞っているかのよう。

「やっぱり、セシルはかっこいいわ~」

 セシルが最後の男を地面に沈め扇を優雅に閉じたとき、最後まで傍観していたリシルがつぶやいたのは、そんな場違いなセリフだった。



  to be continued
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