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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.12

 最後の「魔物」を仕留め、一息ついて周りを見渡してみれば、襲撃を受けた場所からだいぶ移動しており、リシルとカイの姿は見えなかった。

「完全にはぐれたな」

 剣を鞘に納めながらあたりを見回し、ジークがこぼす。いつの間にか森を抜け、丘の裾野まで来ていたが、一本道からはかなり離れているらしく、元来た場所はかなり遠そうだった。

「・・・っリシル!」
「待て!」

 焦燥もあらわに、そのまま森の中へ引き返そうとするセシルを、ジークが静止するも、聞こえていないかのように彼女は歩き出す。
 そんなセシルを見て、ジークは軽く溜息をつき後を追う。
 普通の少女であるセシルと大柄な男のジークでは歩幅が違うため、追いつくのは簡単だったが、少女のほうは止まる気配を見せず、猛然と歩いている。

「どこに行くつもりだ」
「リシルのところに決まっている!」

 少女の斜め後ろで歩調を合わせた男は、冷静に問いかける。しかし、返って来たのは感情に任せた一言。
 再び溜息をつき、またしても落ち着いた声音で聞く。けれど、返答は変わらず。

「それはわかっている。そのリシルの居場所はどこだ、と聞いている」
「わかっていたら、こんなに焦ってはいない!!」

 本来ならば高い警戒心で周囲に気を配ることを怠らない少女が、今は片割れへの気がかりと焦燥でその能力が発揮し切れていない。こんな状態では、見つかるものも見つからないことは、男の眼には明らかだった。それどころか、先ほどのように「魔物」の襲撃に、冷静に対処できるかも怪しい。
 こんな危なっかしい少女を、正気を失った「魔物」の棲む森の中に放置する気なれるほど、この男は人でなしでも薄情でもなかった。
 しかし、何とか少女に冷静さを取り戻させなければ、少女もろともこの危険な森をさまよわなければならない。
 努めて冷静に、少女の感情を荒立てないように言葉を選びながら、少女を引き止めるべく声をかけ続ける。

「わかったから落ち着け」
「うるさい!あれだけの「魔物」に一人で囲まれて、リシルに何かあったらどうする!!」
「リシルの近くにはカイもいた。一人ではない」
「そんなもの、何の保証にもならないだろう!!」

 けれど、男の努力も空しく、少女は止まる気配を見せずにますます感情を高ぶらせる。
 元来それほど口数の多くはない男が、これ以上言葉で少女を止めることは不可能だった。そして、それを当の男も理解していた。ここは実力行使に出るしかない。
 少女と自分の腕力差を考えるとあまり力は入れるつもりはないが、慎重に腕を取って引き止めようとする。
 しかし、触れる直前でセシルが右腕で振り払った。

「っさわるな!!」
「っ・・・!!」

 それほど強く振り払ったわけではないのに、ジークが一瞬息を詰める。
 不自然なその動きを不審に思ったセシルは、自分が払ったのがジークの左手であることに気づく。それは、自分をかばった時に負傷したところ。
 それに気づいた途端、頭に上っていた血が一気に下がった。



   to be continued
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