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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.14

 ジークは手当てに礼を言ったにもかかわらず、その傷の原因となった自分は感謝どころか、謝罪もしていない。恩知らずもいいところ、な自分の行動に、一気に羞恥心がわく。

「あ、あの・・・その、ごめん」
「・・・・・・?」

 セシルは、とにかく早く何か言わなければという焦りから、謝罪の言葉に詰まるわ、何に対する謝罪なのかわからない発言になる。男のほうからすれば何の脈絡もない謝罪に、どう反応すればよいかわからないらしく、意味が分からない、と目顔で語っている。

「えっと、その傷、あたしをかばったから。そんな必要なかったのに。ごめん・・・それから、ありがと」

 しどろもろどではあったが、何とか言葉を紡ぐ。
 そんな少女の様子に、男は少しだけ視線を和ませたが、すぐに引き締め聞かなければならなかったことを聞く。

「あのとき、なぜ避けなかった?」

 そう、少女はあのとき、避けられなかったのではなく、避けなかったのだ。あのままジークが間に割って入らなければ、「魔物」の吐いた炎は確実にセシルに届き、無防備な背中を焼いたはず。傷を負うことが確実な攻撃を避けないなど、自殺行為でしかない。

「・・・あれは、避けなくても大丈夫だったの」

 言いにくそうに、視線を合わせずに申し開きをする少女に、男は視線を鋭くする。
 あんな心臓に悪い自殺行為を、そう度々されてはかなわない。きちんと理由を説明するまで、引き下がるつもりはなかった。

「あたしね、他人からのマナの干渉を受けないんだ」

 その説明だけでは不十分。視線でそう訴える。

「巫女姫だからかな?昔から、他人の精霊術とか、「魔物」のつくる火とかかまいたちとか、そういったものが効かないんだ。あたしの体に触れた瞬間に、消えてなくなっちゃうの。どんな原理でそうなってるのかは、神殿にも、リシルにもわかってないんだけど」

 説明を終えたセシルに、ジークが確認をする。

「つまり、あの炎はお前に触れることはなかったと?」
「・・・ごめん。あんた達にはちゃんと説明しとくべきだった。説明してたらそんな怪我、しなくて済んだのに・・・。ほんとにごめん」

 心からの謝罪とともに、深く頭を下げる。
 生まれた時から一緒にいる少女たちにとって、セシルの特異体質は当たり前であったし、このことを知っている神殿の人間意外と旅をすることもなかったため、説明を要するものであるという認識がなかった。しかし、他人を負傷させたのでは、そんな言い訳はできない。
 頭を下げた少女を前に、男は深く溜息をつく。別に、傷を負ったことに謝罪を要求したつもりはなかったのだが。

「別に、大した傷でもない。・・・次からは気を付けろ」

 ぽんぽん、と少女の頭に手をのせてからなんでもないように話し出す。

「少し時間を食ったが、合流のあてはあるのか?」

 男の行動に、触れられた頭を押さえてしばし呆然としていた少女は、我に返る。

「・・・あ、えっと、これ」

 あたふたと、革紐で首から下げていた石を見せる。大きさは親指の爪ほどで、金髪の少女の瞳を思わせる美しい翠の輝きを持った珠だった。

「あたしは精霊術を使えないから、あたしからリシルの居場所を探ることはできないんだけど、リシルはこれの場所を探知することが出来るんだ。」
「なるほど。向こうからの接触を待つしかないということか」

 ジークはそう言って思案する。その間に、セシルは落ち着きを取り戻し、どうすべきか考える。 

「ならば、俺たちはこのまま精霊の居場所へ向かおう」

 しばし沈黙した後、ジークが口を開いた。
 もともとの目的地は精霊シルフィードのいる場所なのだから、自分たちがこのまま向かえば、その後を追ってくるリシルもセシルたちの行動や行き先の予想がつくだろうし、先に行っていた場合は、途中で待っていることもできる。リシルとカイが一緒にいなかったとしても、カイならば今回のようにはぐれた場合、もとの目的地へと向かうと考えられるから、結局はシルフィードのところで落ち合える。

「これが一番、効率がいい」

 そう締めくくって、セシルに目顔で同意を求めてきた。その視線は押しつけがましくはなく、よりよい案があるならば受容する意思が見て取れた。
 その余裕にあふれたジークの態度に、釈然としないものを感じながらも、セシルはうなずく。自分ばかりが乱されて、面白くない。が、そんな感情に振り回されて異論を唱えるほど子供ではない。そんなところ。

「よし、なら行くぞ」

 セシルの心の内を知る由もなく、ジークはシルフィードの坐す、丘の上を目指して歩き出した。


   to be continued
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