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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.15

 一方、リシルとカイは、ジークの予想通り二人で行動をしていた。
 「魔物」の襲撃を退けた後、リシルが真っ先にセシルの居場所を探索したところ、今リシルたちがいる場所から少し離れた場所にいることが分かった。そのままセシルのもとへ行こうとするリシルを、穏やかな微笑みを崩さないカイがなだめる。

「もうちょっと様子をみましょう。たぶん、セシルは兄さんと一緒にいると思いますので、何らかの動きがあるはずです」

 カイも、あの戦闘中の仲間の動きを把握しており、セシルとジークが近くにいたことに気づいていた。その状況ならば、あの、人を守ることに長けた兄が少女のそばを離れるとは思えない。黒髪の少女は、自分を守ることのない、どこか危なげな戦い方をしていたから。
 その言葉通り、少し経つとセシルの反応は丘の上に向かって進みはじめた。シルフィードのいる、丘の頂上を目指す形になる。
 リシルたち二人は森の中だが、始めの一本道からそれほど離れておらず、もとの道に戻ることが出来る。そこから、シルフィードのいる丘の上までの最短経路をたどると、自然とセシルたちと合流できるため、このまま丘の上を目指すことにする。
 二人は、森を抜け丘の坂道を登りながら、周囲への警戒はしつつも世間話に興じていた。

「お二人は、仲がいいんですね」

 そんな中で、ふとカイが話題を転換した。その転換に不自然なところはどこにもなく、何の意図もないように見える。

「あら、カイたちは兄弟仲よくないの?」

 カイの問いに、リシルは翠の大きな瞳をさらに瞠ってみせ、その言葉を否定することなくさらりと話題をすり替える。
 小首を傾げた拍子に、穏やかな日差しをきらきらと弾く金の髪が、ふわりと小さな顔にかかる。邪気のない、のほほんとした笑顔は見る者の警戒心を崩す効果がある。
 そんなリシルの反応にも、特に表情を崩すことなくカイは答える。

「別に悪いわけではありませんよ。ただ、リシルたちの仲のよさが、特に際立って見えただけです」
「あら、そう?別に普通だと思うわ」

 青年の、春の日差しのような笑顔で、何を含んでいるかのような言葉。
 対するは、少女の、含みなど何も気づきませんと言わんばかりの、無邪気を装った笑顔。
 狐と狸の化かし合いじみた微笑みの応酬は、二人が分かれ道にたどり着くまで続いた。

「別に、他意はないんですよ。ただ、噂通りだなと思っただけです」

 そんな無益な戦いに終止符を打ったのは、道の分岐で立ち止まったカイの困ったような笑顔とともに吐き出された台詞だった。

「現代の『巫女姫』は、格別絆が強い、と伺っていたものですから、本当にその通りだと。ただ、不思議に思って」

 襟足にぎりぎりかかるくらいまで伸ばされた銀髪に隠された首の後ろをかきながら、そんなことを言う。
 立ち止まった青年に合わせて、少女のほうも立ち止まり、数歩後ろにいる青年に振り返る。彼の兄ほどではないが、長身の部類に入る青年の顔を見るには、小柄な少女は仰ぎ見なければならなかった。

「同じ地位にいる近しい者が二人いて、片方が明らかに優遇されている状態で、なぜそんなにも仲がいいのか。いや、仲がいい、なんて生易しい表現では足りない」

 カイはそこで言葉切る。自分の感じるものを表すのに、適切な表現を探して視線を軽く伏せる。
 何か思うところがあるのか、口元に残された笑みはどこか苦味を帯びている。

「まるで、お互いに依存しあっているような。・・・そう、二人だけで、世界が完結している、と表現するのがふさわしい」

 上げられた視線は、その中にある感情を読み取ろうと、まっすぐに少女の翠色の瞳をとらえている。



   to be continued
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