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黒ネコ琉璃の噺とゲームの小部屋

琉璃が思いつくままに小説を書いていく部屋です。テイストはラノベ、少女小説といったところでしょうか。眠れない夜のお供にでも。ときどき(?)ゲームと飼い猫の話もつぶやくと思います。

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女神の巫女姫 no.2

「さっきのセシル、ほんとかっこよかったわ~。悪い人たちをばったばったと倒していくんだもの」

 語尾にハートマークでも付きそうな声音で、セシルを称賛するリシル。

「リシルに手をだそうとしたんだから、それくらいの制裁は当然でしょ」

 そんな彼女に平然と答えるセシル。どうやら、彼女たちの間ではこんな会話は日常茶飯事らしい。
 港町の大衆食堂の喧噪の中、二人がそんな会話に花を咲かせていると、突然声がかけられた。

「すみません、相席構いませんか」

 二人が視線を向ければ、20歳前後と思しき男。リシル目当てのナンパかとあたりを見回すと、どうやら本当にここしか空いてないらしい。昼時の食堂というのはどこも混むもので、かくいうセシルたちも、先ほどまで見知らぬ人々と相席だった。

「構わないよ」

 あらぬ疑いをかけたことを心の中でこっそり詫びつつ、セシルは男達に席を進める。

「ありがとうございます」

 穏やかに笑って礼をいう男は、よく見ればかなりの美形だった。きらめく銀糸のような髪に、透き通った湖のような青い瞳、すっと通った鼻筋に温和に微笑む顔は、春の日差しのよう。なのに、弱々しさは全くなく、一本芯の通った、どこか気品さえ感じられる物腰。

(あー、いわゆる、白馬の王子様、的な?)

 セシルがそんな感想を抱きつつ、リシルとの会話に戻ろうとしたとき、

「兄さん、ここいいそうですよ」

 王子様(?)は連れがいたらしく、後ろに声をかけている。
 現れたのは、王子様より少し年上の男。兄と呼ばれたことから兄弟なのだろう、王子様と同じような配色に、これまたすこぶる男前。しかし、雰囲気はだいぶ違い、冴え冴えとした月光の髪に、深い海の色の瞳で、そこに宿す光はどこか硬質な印象を受ける。こちらは王子様というより、王様の方がしっくりきそうだ。

「相席、感謝する」

 一言言って席に着くあたり、見た目の印象と大差ない中身をしているようだ。
 席に着いた二人を見計らって、ウェイトレスが注文を取りに来て、二人は注文する。
 それを見るともなしに見ながら、セシル達自分たちの会話に戻っていった。

「お二人さん、探し人は見つかったのかい」

 しばらくたって、セシル達が食事を終え、そろそろ出ようかと話しているときに、そんな声がかかる。

「いえ、まだなんです」

 王子様(でいいや、もう)の男が、律儀に返答をする。どうやら今の声は、相席している男達にかかったもののようだ。

「そうかい。まぁ、がんばんなよ!」

 声をかけてきた男は、それっきり自分に運ばれてきた料理に集中し始めた。

「人を探してるの?」

 男との会話が終わった王子様に、会話の内容に好奇心を刺激されたリシルが声をかける。
 まったく、この子は自分の立場をわかっているのだろうか、とセシルが内心溜息をついていることをしっているのか、いないのか。セシルは気づいていないほうに賭ける。きっと負けない。

「えぇ、歌姫と舞姫を」

 堂々とそんなことを言ってのけた王子様に、セシルの心の中の溜息はさらに深くなる。

(こんな真昼間の港町の大衆食堂に、いるわけないだろ)

 歌姫や舞姫と呼ばれる職種の人間は、基本的に夜の活動が多い。芸のみを売る場合もそうだし、色も売る場合はなおさら。

「う~ん、歌姫さんたちを探すなら、大きな劇団とかを探したほうがいいんじゃないかしら」
「その歌姫と舞姫じゃない」

 リシルの能天気な言葉を、兄の声が否定する。

「リシル、食べ終わったんならもう行くよ」

 じゃあ、どんな歌姫たちなのかと、あたりにはてなマークを飛ばすリシルに、王子様がさらに声をかける前に、セシルが立ち上がる。他人の事情に首を突っ込めるほど、暇じゃない。

「え、あ、うん」

 セシルの突然の行動に驚きながらも、それでも否は唱えない。セシルの心の溜息に気づいてた?

「えっと、舞姫さんたち見つかるといいですね」

 相席をした男達にぺこりと頭を下げ、先に歩き出しているセシルを小走りに追う。
 二人の姿はすぐに喧噪に飲まれ、見えなくなった。
 そのはずなのに、男二人はいつまでもその背を見送っていた。

「見つけた」

 そんなつぶやきとともに。



   to be continued
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